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2019.03.26

[連載 – 1]「田舎の木材工場で起きた奇跡」と、その後 – BacklogWorldより

西 武史

取締役CTO
西 武史

仕事の流儀 学び



日本一魅力的なエンジニア集団を作るdiffeasyCTO西です。

 

2019年1月26日に秋葉原UDX ギャラリーネクストで開催されたBacklogWorld2019にて『「田舎の木材工場で起きた奇跡」と、その後』のテーマで基調講演させていただきました。

セッションには、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。

 

スライドを公開してほしいという声も多くいただきました。

スライドを公開しても良かったのですが、スライドには最小限の文字しか記載していないため、間違った印象で伝わる部分もあるかもしれない、ということで、ブログとして記事に起こすことにしました。

 

軽い気持ちで書き始めたのですが、大作になりそうなので、連載にします。

この記事では、連載の第1回目として、BacklogWorldの紹介と、「田舎の木材工場で起きた奇跡」とは何か?について書きます。

 

BacklogWorld2019最高!

まずイベントについてですが、BacklogWorldはプロジェクト管理ツールBacklogを提供されている株式会社ヌーラボ様の主催で2018年に初めて開催されました。

 

2回目の開催となる今回は「プロジェクトマネジメント×働き方改革」というテーマで、BacklogユーザーコミュニティであるJBUGによって運営されました。

運営の皆さんお疲れ様でした。

 

当日の様子はこの辺りのブログや記事にまとめられていますので、ぜひご覧ください。

 

2018年に第1回目のBacklogWorld内で開催された、最も優秀なプロジェクトを表彰するイベント「Good Project Award」にて弊社のプロジェクトが最優秀賞をいただいたことがきっかけで、今回基調講演をさせていただくことになりました。

 

こちらも、当日の様子はこの辺りをご覧ください。

 

GoodProjectAward受賞をきっかけに、我々diffeasyのことを多くの方々に知っていただき、採用や新たな仕事の相談にも繋がりました。

 

田舎の木材工場で起きた奇跡

プロジェクト開始

[プロジェクトの紹介ブログ]

 

お客様は宮崎県高原町にあるツーバイフォーパネルの加工組立工場「株式会社ビッグハウス」様。
こちらの立箱社長よりシステム開発のご依頼をいただきました。

 

立箱社長はとても未来志向で、エネルギッシュであり、「これからIT化が必ず必要になる!」とシステムに対する強い思いを持たれている方です。

 

プロジェクト開始の時点では、色々と社長のアイデアややりたいことはあったものの、
ITによってどのように課題を解決するのか?
どのようなシステムが必要か?
については、まだぼんやりとしている状態でした。

 

社員の方々は、割合としては年配の方も多く、どちらかというとITに対して苦手意識が高い方が多くいらっしゃいました。
タブレットを使ったことがない方がほとんどで、携帯もスマホではなくガラケー利用者がほとんどです。

 

私が最初に現場を訪問した時の率直な感想は、「システムを作っても、使ってもらえるだろうか・・」というのが正直なところでした。。(今となっては「すみません!」という思いです。)

 

そこで我々はまず「何をやるか?」という課題を発見すること、そしてタブレットなどのITに慣れてもらう事から始めました。

 

課題の発見

プロジェクトマネージャーのCOO白石篤司、開発リーダーの私を始め、プログラマーの新谷も現場に足を運んで、ヒアリングを重ねました。
まだ私がプロジェクトにジョインする前から、期間にして約半年何度も現場を訪問しました。

 

福岡から宮崎県高原町まで車で3時間以上かかる距離であるため、頻繁に行き来することもできません。
そこで、ITに慣れてもらうためにも、タブレットやスマホを使って、LINEなどのチャットツールを導入してもらい、チャットやテレビ電話でやり取りすることも同時に進めました。

 

コミュニケーションを重ねるうちに、課題や、やりたいことがだんだんと明確になってきたのですが、その中で1つ大きな課題が見えてきました。
設計図面の管理が非常に大変だという課題です。

 

設計図面は家1軒につき500枚ほどあり、それを設計担当者が印刷して工場の職人さんたちに配って作業していました。
この中で1枚なくなっただけでも、どの設計図面がなくなったのかわからないので、500枚の紙の中から探す必要があります。

 

まずは優先度の高いこの課題を解決することを決めました。
設計図面をペーパーレス化し、タブレット(iPad Pro)で図面を管理できるシステムの開発に取り組みました。

 

設計図面のペーパーレス化

我々が開発したシステムは、設計担当者が設計図面のファイルをクラウド上にアップロードすることで、設計図面を現場ごとに一覧管理し、すぐに職人さんたちがタブレットで図面を共有できるシステムです。

大きな画面のiPadProに防塵・衝撃吸収カバーをつけて、職人さん一人一人に配布しました。

従来の紙の設計図面と同様、タッチペンを使ってタブレットの図面に書き込みやマーカーで線を引くことができます。

 

年配の方でも利用しやすいように、メニューも色分けして、文字を大きく設計しました。
これも現場を訪問したプログラマーが提案しました。

 

要件定義書だけを見て作っていたら出てこなかったアイデアです。
現場を訪問し、解像度高く課題を見ていたからこそこのような提案が出てきました。

 

従来は誰がどの作業をしているかまでは把握できておらず、人によっては作業が空いてしまうこともありました。
設計図面の作業状況「未着手」「カット済み」「組立中」などのステータスも管理し、誰がどの作業をやっているかを可視化する仕組みも構築しました。

 

IT化によって起こった変化

設計図面のペーパーレス化によって、工場内から紙の設計図面がなくなりました。
今やこの設計図面システムがないと作業が進まない、と言われています。

 

さらに、システム導入後しばらくして、工場を訪問してみると・・・

「ん??これ何ですか?」
「AppleTVを使うと、iPadの画面をミラーリングできるんですよ!」
この言葉には驚き、感動しました!
鳥肌が立ったのを今でも覚えています。

 

つい数ヶ月前まではタブレットやスマホを使ったことがなく、ITに対して苦手意識を持っていた方々が、自分たちで興味を持って調べられて、AppleTVを使ってミラーリングする仕組みを構築されていたのです。
我々から提案や情報提供したわけではありません。

 

システム導入による変化はこれだけではありません。働く人々の心や仕事に対する取り組み方にも変化をもたらしていました。

 

システム導入をきっかけに、ベテランの職人さんが若手の職人さんにタブレットの使い方を聞くようになりました。
すると、若手の職人さんがベテランの職人さんに木材加工に関する技術的な質問をしやすくなり、コミュニケーションが活発になったそうです。

 

システムに対する改善要望などの提案から始まって、会社に対する提案も出るようになったそうで、これもシステム化以前はなかったそうです。

 

システムはきっかけに過ぎない

diffeasyさんは我々がいくらでもこの先、変化していけるというきっかけを作ってくれました

これは、立箱社長より頂戴した言葉です。

 

「システムは目的ではなく、1つの手段である」という思いを私は常に持っています。
システム開発が目的ではなく、システムを1つのツールとしてお客様の業務を効率化し、課題を解決することが目的です。

 

ただし、そのための最高の手段を提供するために我々システム開発者は最高の技術を追求する必要があります。

 

我々diffeasyのロゴ、立方体の形をしていますが、これは上から押すスイッチの形を表しています。
システムをきっかけとしてお客様の心のスイッチを押し、お客様の業務だけでなく、気持ちにも変化を起こす。
 
これがdiffeasyのロゴに込められた意味であり、diffeasyの仕事に対する思いです。
 

システムエンジニアとして今まで10年以上システム開発に携わってきましたが、私のエンジニア人生の中でも非常に思い出深いプロジェクトになりました。

 

・・というところまでが、「田舎の木材工場で起きた奇跡」というエピソードだったのですが、これは奇跡の始まりに過ぎなかったのです

・・・その後何が起こったのか?

 

それはまた次回のブログにて。

 

いやー、システム開発って本当に素晴らしいですね。それではみなさん、さよなら、さよなら、さよなら。
(続く)

written by

西 武史

取締役CTO
西 武史

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